2009年4月2日木曜日

【第3節】日本人であるということ(自身18歳)


 スカウトに気に入られたことで、すっかりアメリカのプロの野球選手になった気分になり、日本では同級生を見下した感じすらあったのかもしれなかった。


現に高校3年生の最後の大会前に野球部を退部するという暴挙にまで出たのである。これについては後ほどの機会に語ることにしたいと思う。


 高校の卒業式を1ヶ月前に控えた1月の終わりに、卒業式を出ないつもりでアメリカ行きを決めた。特に同級生からは惜しむ言葉もなく、この頃にはチームメイト達とも深い溝が出来ていたことは分かっていた。

野球を選んだ人生はこの頃からすでに孤独との闘いでもあった。


 アメリカに渡る直前に、「プロになりたければ高校を卒業してすぐにアメリカに来い」といってくれたスカウトに連絡を試みた。


 しかし何度連絡を試みても一切の音信が途絶えていたのである。


  一抹の不安を抱えながらも「向こうに行けば何とかなるだろう」と楽観的に解釈し、飛行機に乗り、フロリダへと向かった。

フロリダへは当時3本の便を乗り換 えてたどり着かなくてはならなかった。12時間、4時間、2時間と、それぞれ間に待ち時間を含めると25時間もかかったのである。


向こうに着く頃にはクタクタになりながらも、迎えのバンが来ていたことに安心し、宿舎へと向かった。

 翌朝、衝撃の事実を知るのである。



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